東京、赤きに沈む

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各地の部隊に戦闘配備が発令される少し前、一隻の航空巡洋艦が群馬から東京に向かっていた。 國風級巡洋艦【星風】 群馬県の山中での陸戦演習及び士官研修を終えたばかりの新型艦である。 所属である横須賀基地への半年ぶりの帰還、及び休暇が与えられるとあって乗員の士気は高い。 「熱反応?」 目深にかぶった軍帽のつばの下から黒い瞳を覗かせ、【星風】艦長、滝沢恵美は聞き直した。 「はい、それも半径二十キロメートルの広範囲にわたって測定不能の超高温」 航海士の一人が手元の報告書を読み上げる。
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