570人が本棚に入れています
本棚に追加
「全部、全部絵にした。君がいつか気付いてくれる事を信じて」
――トクン
と跳ねる胸。
「展示会が始まったら毎回ここに来てた。気付いて、今みたいに走ってくる君を想像しながら」
トクン、トクン……
大きく跳ねながらも一定のリズムを刻む胸。
「そして俺は、君の絵を描く後ろ姿を描いたんだ。アトリエも全く同じに、ヘッドホンをさせて」
あの時、どこか見覚えがあったのは私のアトリエだったからなんだ。
「今度こそ気付いてくれるって思ってたのに、来てくれなかった」
ちょっとしか見れなかったから……
「だから、わざと音をたてて気付かせたんだ、俺が君のアトリエに来てる事を。――俺の存在を、君に」
最初のコメントを投稿しよう!