詩音の想い<崩壊>

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「真夜中にごめんなさい。 おきててよかったー!!」 「慎吾・・」 ほっとする声。 なきそうになった。 「こんな真夜中にごめんね。 時間・・大丈夫?家の人とか・・。」 遠慮がちな 慎吾の声。 「うん、大丈夫。」 「詩音、最近学校にきてないの?悠里さんとかに聞いたら 休んでるって。」 あ・・悠里に聞いたんだ。 悠里にも ちゃんと話してないから・・。 「あ・・。うん。 忙しくて、学校にいけてないや。」 「忙しいんだ・・ なんか、あったの?」 「・・。」 お母さんが体調よくなくて・・。 言えばいい。 いいわけならいくらでもある。 でも言葉にできなかった。 何をいうの? 普通にえいばすむことを どうしてあたしはいえないの? わかんないよ。 あたしが黙ると 慎吾もだまる。 この時間が いやにながくて 呼吸がしずらかった。 きっとそんなに時間が たってないと想うのに 何時間もたったみたい。 受話器の向こうで 呼吸が聞こえた。 「ハッピーバースデー。」
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