逢いたい

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「・・逢いたい?詩音に。」 逢いたい、 でも・・。 「逢いたい。 でも・・あってどうすればいいんですか、俺・・。 雅志さんと話をしたときは 逢いたくて、ただあいたくて それしかなかった。 でも・・俺はいま、藍子と付き合ってて・・。」 「藍子と詩音、どっちを選ぶ、とかじゃないわよ。」 羽音のコトバが胸を刺した。 「・・逢いたいんでしょ? それがどう結果をだすかは わからないわ。 藍子が傷つくかもしれない。 詩音が傷つくかもしれない。 そして・・あんたが一番傷つくかもしれない。」 「・・。俺は・・。」 「覚えてる? 詩音とした、ヤクソク。」 ヤクソク? 詩音の誕生日のこと? 「あたしがいえるのはここまで、かな。どうするかはアナタしだい。 2人でした約束を 毎年詩音はひとりでしてるわ。 でもね・・2人で交わした約束は・・ひとりじゃ守りきれないでしょう?」 羽音はそういうと立ち上がった。 「もうこんな時間!! あたし、かえんなきゃ!」 羽音はそういった。 保健室の窓には クリスマスのかわいい飾りがついてる。 「もうすぐ・・クリスマス・・か。」 「あんたの誕生日、ね。 いくつになるの?」 「27です。」 「二十歳の誕生日・・思い出す?」 羽音はそういって少し、笑った。 詩音の面影を残して。
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