64人が本棚に入れています
本棚に追加
とりあえず、巨大蜂だけでも仕留めなくては。左肩から生える銀色の針の根元は真っ赤に血で染まっている。
痛みをこらえて立ち上がる。しかし、痛みが激しくて刀を握り締める事が出来ず、地面に落としてしまった。
巨大蜂はそれを好機と判断して、満身創痍な体に鞭を打ってこちらに飛んでくる。
ゆっくりとした時間が流れる。‥‥あぁ俺は死ぬのか。
何故か死を認めてしまう。死を目前にしながら何故か冷静である。
だが、どうせ死ぬなら抗って、抗って、抗ってから死んでやるんだ。
俺は空手の構えを巨大蜂に向かって、ゆっくり準備する。
この一撃に‥‥全身全霊を賭ける。蜂と俺の体がちょうど得意の間合いに入った。
戦いはまさに一瞬でケリが付いた。蜂の針が体に触れるよりも早く、俺の右腕から放たれた拳が蜂の腹を貫いた。
俺の突きは極めて早く、正確に急所を狙い、確実に相手を打ち砕く。そう鍛えられてきた。
最初のコメントを投稿しよう!