芋虫

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僕は美しい羽を広げて蒼穹を舞うために生まれて来たの   僕は僕と同じ種族の色々な結末を見て来たんだ   天敵の鳥に頭を引き剥がされて内蔵を向きだしにしたヤツや   歩いてる途中で大きな足に原形が分からないほどグチャグチャに体を潰されたヤツとかさ   だけど僕は違ったんだ  誰も僕に気付かないし誰も僕に触ろうとしなかったもの   僕は特別な存在に違いないんだ 絶対に…   そして、ある日から僕は糸を吐けるようになったんだ   だから自分用のベッドを作ったの   白い綺麗な糸でね ゆっくりと紡ぎだしたの   それで寝てたら急に穴が空いた様な気がしたんだ   だけど眠かったからそのまま寝てたんだよ   そしたら…   お腹の中で何かが動くんだ…   モゾモゾモゾ…   段々体が細くなってきた…   皮だけみたい… そして…               僕の意識は墜ちた… 深淵の闇に永遠に…     こうして僕のベッドから生まれたのは美しい羽を持たない者でした…      
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