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彼は歩いていた…
そして、彼の時は停滞した
人の作ったモノ
大きく
堅固であり
素早く迫る…
一瞬だった
ただ一瞬で全ては変わった…
彼の全てを奪った
四肢はひしゃげて飛び散り
撒き散らされた鮮血が地面を染める
弾けた臓物
突き出した骨
頭部からは脳漿が滴り落ちる…
赤と黒のコントラストはただ鮮明に…
彼の光の無い眼はモノクロの空を穿つ
己の血肉を喰らう烏は目に入らず…
ただ焦点は空を
ただ…
彼は時と共に道端の一部に墨の後のような痕跡を残して消え…
存在が消えた…
誰かの記憶にも残らずに…
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