猫にあいさつ

2/4
前へ
/31ページ
次へ
 あまりにも孤独だった僕は、会社に行く途中の小道で汚らしい野良猫におはようと言ってみる。周りに誰もいないのを確認しながら。 「気やすく話し掛けるなよ」  と猫は答える。  猫が普通に話すことに僕は驚き、アホみたいに口をポカンと開けている。  そんな僕を見かねて野良猫はさらに言う。 「そんなに驚くなよ。この世界にはおまえの知らないことだって沢山起こるんだよ」  野良猫はそう言って、小さなため息を吐く。 「いやいや、猫が喋るなんて誰も知らないよ」  と、僕は冷静な振りをして言う。
/31ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加