ある、雨の夜に。

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タクシーから降りると、街灯の下で傘もささずに佇む美郷が見えた。 やばい…。泥酔してる。 鼻の頭が真っ赤になって、涙と雨と鼻水で綺麗な顔がぐちゃぐちゃになっていた。 「テルぅ…。」 首に手をまわして強く抱きついてくる。背が高い美郷とチビの僕。ちょっと変な態勢だ。 「風邪ひくから…部屋に入ろうよ。ね?」 何度も頷いて僕の腕にしがみつく彼女を支えながら、ゆっくりと階段を登った。
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