ある、雨の夜に。

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ドアを開けると室内は大惨事。 しまった! 昨夜、飲み会があったんだ。 ビールの空缶やお菓子の空き袋、一升瓶etc…。 仲間が夜中に現れて、勝手に盛り上がって、騒いで、明け方になると片付けもせずに去って行った。 入居者が少なくて苦情もない安アパートは、彼らにとって絶好の溜まり場になっている。 「良いよぉ…。そのままで。晃彦たちでしょ?」 慌てて片付け始めた僕を制して、美郷は糸が切れた操り人形みたいに座り込んだ。 「もぅ…死んじゃいたい。ねぇ、聞いてよ。アイツ最低。」 「待って!とにかく着替えよう。」 それからの僕はお母さん役に徹した。お風呂を準備して…着替えを準備して…。
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