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シャワーを浴びて少し酔いから醒めた美郷は、ティッシュで涙と鼻水を抑えながら今夜の顛末を語り始めた。
要するに…原因は彼氏の浮気らしい。偶然に立ち寄ったバーで他のオンナと親しく飲んでいる現場と遭遇したんだって。
その後の修羅場は想像にかたくないね。
惚れやすくて嫉妬深い彼女の恋愛はいつも短命だ。
おまけに激情家だから…。
モデル並の美貌に惹かれて付き合い始めたオトコ達は、その本性を知ると足早に去ってしまう。
「好きだったのに…。」
純粋で透明な涙がポロポロとテーブルに落ちた。
短い「恋」が終わる時、いつも僕が傍にいた。
人間恐怖症だった僕を受け入れてくれた美郷。彼女のおかげで親しい仲間もできた。
『おいでよ、こっちっ。』
光の輪の外で躊躇していた僕へ温かい掌を差しのべてくれた優しさを、生涯忘れない。
「ねぇ、テル。kissして。」
そっと額におやすみのkissをすると、はにかんだ微笑を浮かべた美郷は当然のようにベットを占領した。
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