カンバス。

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土曜日の夜。 コン、コン…ココン。 台所でラーメンを茹でていたら、通路側の窓をノックする音が聞こえた。 誰だろう?晃彦かな。 腹が減ってるのに…。 バイト先の賄い飯じゃ物足りなくて、食器棚の奥に残っていた一袋をやっと発見したんだから。 窓を少し開けると、目の前に美郷の眩しい笑顔があった。 思いがけず至近距離。深く澄んだ輝く瞳。艶やかな唇。心拍数が破裂する。 「貧しい少年は真夜中にインスタントラーメンかぁ。」 鍋から立ち上る湯気を両手で扇ぎ、大袈裟に匂いを嗅ぐ仕草をする。 妙に上機嫌…。 「また飲んでるの?」 仄かにアルコールの匂いがした。 「煩いなぁ…。折角、貧乏な親友に差し入れを持って来たのに。」 美郷は部屋に転がり込むと、早速コンビニで調達した缶ビールやスナック菓子を広げ始める。 ラーメンが出来てテーブルにつく頃には、既に1缶飲み干していた。 「カンパ~イ!」 「何の乾杯?」 「んー。世界平和を願って!」 空缶を高々と振り上げる。次のビールの催促だ。 「適当だなぁ…。飲めればいいんでしょ?マジで酒乱だよ。」 缶ビールを手渡しながら、眠い目をこする。バイトで疲れているんだよ…今夜は団体客が重なって、めちゃめちゃ忙しかったのに。 「テルはイチイチ細かいのっ。ちっちゃいオトコだなぁ!」 はい。 はい。 酔っ払いに付き合ってたら朝になってしまう。
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