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どのくらい泣き続けていただろう…?
時間の感覚はなかったけど、随分長く泣いていた気がする…
私はもう一度母の顔を見た。
母は眠っているようで、揺らせば起きるのでは?という、なんとも都合のよい事を何度も思ってしまう。
そして私が母の亡きがらを揺らそうとしたとき、パタパタと足音が近づいて来た。そして、母が寝かされている部屋のドアが勢いよく開き、男が一人入って来る…
――――父だった。
私の泣き腫らした顔を見て、父は息を詰める。
そしてベッドに寝かされている母に近付いていった。
「…正美、正美?俺だよ、わかるよな…?――っ、正美!!」
父は狂ったように母の名前を呼び続け、私は父の横に立ったままその様子を見ていた。
私の中の感情が冷たい物へ変わってゆく――
悲しみに満たされていた私の心は、父への怒りに満たされてしまった…
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