序章

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 深い霧が立ち込める町、数々の通りを様々な店が飾る。 その中央には堅牢ながら豪奢な造りの城門を前に置く、立派な城が鎮座していた。 その城門の前にある広場の片隅、木で作られたベンチに少年は座っていた。 やや短い銀色の髪を風に揺らし何かを捜しているのか、せわしなく紅い瞳で辺りを見回している。 少年は暫く何かを捜していたが、やがて困ったようにポツリと呟いた。 「居ないな……ここらへんで見たって聞いたんだけどな……パン屋さんの所の猫」 少年はどうやらを猫を捜しているようで、立ち上がるとベンチの下や近くの植え込みを掻き分けて猫の捜索を開始した。
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