序章

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 暫く通りを走り続けると、振り切ったのか見逃したのか、最初に追って来ていた集団は姿が見えなくなっていた。 そして二人は手近な場所で立ち止まった。 「はぁ、いきなりなんなのさ?」 「五月蝿い。手近に居たお前が悪い」 少年が非難の声をあげると、少女は振り向き様の一言で斬って落とした。 「まぁ、僕が巻き込まれたのは別に良いとして。で、君はこれからどうする気?」 「うむ。この国から出る」 「……どうやって? 足は?」 「判らん……足は無い」 「……はぁ」 その応酬の後、少年は少し眩暈を覚えた。 無策過ぎる。まさにキングオブ無策。そして溜息を吐くと、クルリと踵を返して歩き出す。 「待て。何処に行く気だ?」 「僕の家。父親が遺してったジープがあるから、足には充分でしょ。サバイバルセットも積んであるしね」 「うむぅ、随分用意周到だな。まるで、近々出ていくつもりだったかのようだな」 「まぁ、備えあれば憂いなしってことだよ。」 「クク……そのようだな。」 慌ててそれを追いかけた少女が少年にそう聞くと、少年は笑みを浮かべてそう答えた。 そして少女はそれに頷き、後は何も言わぬまま二人は少年の家に移動する事にした。
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