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実家に住んでいた私は、彼と付き合い出した直後、両親に彼を紹介していた。
その後に一度だけ、両親と彼と一緒に食事をしたことがあったが、厳しかった父は私の部屋に彼を入れることを許さなかった。
だから、けいチャンは家に来ることはなく、いつも近くの路上に車を止めて待っていた。
「今、着いたよ」
けいチャンからの電話で外に行くと、彼はいつもの場所に車を止めて待っていた。
時間は7時を過ぎ、辺りは薄暗くなっていた。
彼の車に乗り込み、早速スティックを渡す。
けいチャンは食い入るようにスティックを見た。
「線、1本しか見えなくね?」
「うそ~ちゃんと見てよ」
再びスティックを見つめる彼。
「…やっぱり見えないよ」
昼間の明るい部屋でも、うっすらしか見えなかったのだから当然だ。
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