バカップル

8/10
前へ
/150ページ
次へ
実家に住んでいた私は、彼と付き合い出した直後、両親に彼を紹介していた。 その後に一度だけ、両親と彼と一緒に食事をしたことがあったが、厳しかった父は私の部屋に彼を入れることを許さなかった。 だから、けいチャンは家に来ることはなく、いつも近くの路上に車を止めて待っていた。 「今、着いたよ」 けいチャンからの電話で外に行くと、彼はいつもの場所に車を止めて待っていた。 時間は7時を過ぎ、辺りは薄暗くなっていた。 彼の車に乗り込み、早速スティックを渡す。 けいチャンは食い入るようにスティックを見た。 「線、1本しか見えなくね?」 「うそ~ちゃんと見てよ」 再びスティックを見つめる彼。 「…やっぱり見えないよ」 昼間の明るい部屋でも、うっすらしか見えなかったのだから当然だ。  
/150ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2513人が本棚に入れています
本棚に追加