始まりの好き

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「…俺と、付き合ってもらえせんか?」 「ねぇ、キミ僕の話聞いてた? 視界から消えろって言ったんだけど」 「消えろと言われても俺はアンタと居たいんです!」 再び廊下に響く少年、早霧爽人(サギリ アキト)の声 違うのは下校途中で廊下を歩く人がいないこと 「……はぁ…、ほんと物好き… 僕なんかと居ても傷つくだけだよ。」 聞こえないくらいの声でポツリと呟く 「そんなこと一緒に居てみないとわからないじゃないですか! 傷ついたかなんてものは俺が決めるんだから」 なかなか引かない早霧に半ばあきれ始め 「…キミみたいな奴、苦手だよ」 「俺はアンタみたいな人だから好きなんですがね」 「そう…勝手にしなよ」 意外な一言に目を見開くがすぐに戻しフッと笑い 「じゃあ、お言葉に甘えて勝手にしますね」 「……」 「ど、どこ行くんですか!?」 無言で背を向け歩きはじめる夏月を呼び止める 「何処って…帰るんだけど ……一緒に帰る?」 「い、いいんですか?」 意外な一言に瞳を輝かせ 「うるさくしないならね」 「しません!!」 叫びにも似た大きさの声で返事をする 「声、うるさいよ…」 言ったその場で騒ぐ早霧に呆れながら、こんなのも悪くはないものだと微笑みながら早霧のおでこを指で軽く弾く
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