9人が本棚に入れています
本棚に追加
他の色は一切無く、一見すれば何の事か分からないであろうが…秀明はそれに気づく事ができた。
そして気づいた瞬間秀明の脳は情報を回転させ、その気づきを理解へと昇華させようとする。
人は誰でも気づく事まではできる、問題なのはそこから理解に繋げる事。
たとえ複数の人間が同じ事を知っていたとしても、その意味を理解するのとしないのとでは雲泥の差がある。
その差を今、秀明は己が持てる知識を持って埋めようとしており…それは秀明をより完璧へと近づけていく。
「…おい、さっきからぼーっとして何してんだよ?そんなに時間がある訳じゃねぇんだぞ?」
女の問いに、秀明はゆっくりと自分が辿り着いた事実を語り出す。
「…この世界は黒い壁に覆われているのではなく、四色の世界を重ね合わせた欠陥品…そうですよね?」
「…ふぅん、ちゃんと気づいたか…それから?」
「世界は本当に真っ黒い世界ではなく、四つの世界を重ね合わせた結果…重複させた結果として存在する世界…でしょ?」
秀明の言葉に女は何度も頷き、僅かながらも感心した様子を見せる。
「そう、正解だ。ここは言わば使われた概念の墓場という事だな」
人は己の意志を通す際に、それ特有のカラーを持ってそれを世界に認めさせようとする。
それは大まかに分けて四つの色で表現され、余程突飛な思考で無い限りはこれらの色に分類される…それを敢えて称するなら、『概念色』
この色によって我々の意志は変化を見せ、またそれを貫く時の原動力にもなる。
最初のコメントを投稿しよう!