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女の率直な言葉に、秀明はしばらく呆然とした後、フッと苦笑する。
「…またか…世界を救えとか破壊しろとか…何で僕にばっかそんな事を頼むんだよ?僕だってもううんざり、」
「バ~カ、勘違いするな。別にお前だから頼むんじゃねぇ、お前しかいねえから言っているんだよ」
「…そうかい、じゃあ僕にはこの狭間を破壊する力があるって言うのか?いくら何でも、」
「違う、お前に破壊して欲しい世界はここじゃない…ノーエンドのだ」
―その言葉を聞いた瞬間、秀明の思考は凍りつき…そして思考が追いついていないのに無理に放った言葉は絶叫に変わる。
「そんな…できる訳がないだろ?!アイツのは…あの世界は既に人間が作ったものじゃない!あの絶対的な支配力はもう…神に等しい力だ…それなのに潰す事なんて、」
「違う、アイツは神なんかじゃない。アイツはそんな大層なもんじゃねぇし…あんな世界も大した事ねぇ」
その言葉にはノーエンドを哀れむ響きがあり、秀明は先程からの彼女の言動に疑問を持ち始める。
先程から自分の言葉は彼女の言葉によって否定され続けている。それは自分の言葉が違う事実を語っているから当たり前の事なのだが…それはつまり彼女が秀明が知らない以上の事を知っているという事だ。
彼女は果たしてどこまでを知るのか?それは自分をどこに導くのか?秀明の関心はそちらに傾きつつあった。
「…じゃあ何で僕しかいないんだ?霊術師って事なら他にもいるはず…何で僕なんだ?」
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