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秀明はその問いの答えは予想していたが、彼女の口から直接聞く事によって真実としたかったのだ。
「それはお前が今この狭間にいる唯一の霊術師だからだ。おまけにお前の世界は潰されかけているとはいえかなり強い…戦力としてはまぁ充分な方だろ」
「…だったら…どうして僕がノーエンドを倒すさなきゃいけないの?何のために?」
秀明の問いは未練がましい問いだったかもしれないが…動機の確認が何かを成すのに重要なのも事実だった。
自分がノーエンドを倒す事で何を救えるのか?あの街の住民というならすぐに断ろう。今さら僕には人間に対する執着なんてない、
「…アイツを…城島貴明を救いたくはねぇのか?」
…秀明はその言葉に一瞬思考が停止し、そしてその一瞬を越えた先には…病的な笑いが待っていた。
「は、ははは…何を言うかと思えば…城島?僕がアイツを救いたい?そんな事ある訳無いじゃないか?!アイツは怪魔達を何の慈悲も無く殺してきた罪人だ!その光景を見ている僕がどれほど辛かったか…あんな奴、死ぬなら勝手に…」
そこまで呟いて、秀明は彼女の言葉に隠された事実に気づく…遅ればせながら。
「…城島に…何があったっていうんだ?」
秀明の問いに女の顔は厳しいものになり、秀明に向かって右手を差し出す。
「知りたいか?…なら教えてやる」
「え?何を…?」
秀明が戸惑っているにも関わらず、女は秀明の額に手を添える…その瞬間、目の前の世界が一気に跳躍する。
「なっ!つぅ!」
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