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「へっ!ビビって何もできないのかよ?この腰抜けが!」
―その言葉に秀明は初めてその目に怒りを浮かべ、女に向かってはっきりと言い切る。
「僕は本当の事を言っただけだ。別にビビってなんかいない、勝手な想像は止めてくれるかな?」
その言葉に女はフッと鼻を鳴らし、秀明を蔑んだ目で見る。
「何だよ?そんな目しておいて結局は言うだけかよ、臆病者はこれだから嫌だぜ…面倒臭いっつたら、」
「取り消せ」
その怒りを込めた呟きは女の耳に鋭く舞い降りたが、それを無視するように女は耳をほじくっている。
「今の侮辱を僕は許す訳にはいかない…取り消さないって言うなら、」
「言うなら…何だ?」
秀明の言葉を遮った女の挑発的な呟きは秀明のプライドを削り、その屑は怒りの炎を燃え上がらせる。
燃え上がった炎はそのまま秀明の両の手の平から吹き出るが、それは緑色をした燐光だった。
秀明の豹変ぶりに女は驚きに眉をひそめるものの、ニヤリと笑って更に挑発の言葉を並べる。
「何だよ?ちゃんと出すもん出せるじゃねぇかよ?気に入ったぜ?」
「うるさい」
秀明は女の言葉を一蹴すると、右手を前に突き出してその場に揺らぎを発生させる。
それはやがて緑色の穴となり、そこから何かが勢いよく飛び出してくる!
その姿は微かにしか見えないが鳥のような姿をしており、そのクチバシで女の胸を貫こうとする。
それを避けようにも既にクチバシは間合いに入っており、最早回避不能であった。
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