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最初の頃は皆で笑いあっているのが普通に楽しかったのだ。
だが、いつしか苦痛でしかなくなってきてしまった。
いや、もしかしたら自分が気づかないだけで最初から無理をしていたのかもしれない。
しかし、柚葵にはどうでもいいことだった。
ただ、今が苦痛で息苦しいとそれだけだった。
「…ぇ、……ってば、ねぇってば!!」
「はぇ?」
柚葵は夢から覚めたときのような感覚に襲われていた。
「もー、柚葵聞いてなかったでしょ?」
「え?あ、うん。ごめん」
まったくーとやや不機嫌に頬を膨らます彼女……浜野 沙羽は幼稚園の頃からの幼馴染だった。
「だからね、昨日空也とデートしてたらね『あら、お兄ちゃんと一緒なんて羨ましいわねぇ』って言われたのっ!!どー思う?」
沙羽は童顔で幼く見えるのでよく子どもに間違われるのだ。
どうやらそのことの愚痴らしい。
「どーって、仕方ないんじゃない?てゆーかいい加減慣れなよ」
「あーっ、そーゆーこと言うんだ?柚葵のバカ、もう知らないんだからっ」
とそっぽを向いていしまった。
そーゆー行動が幼いという自覚は無いのだろうか……いや、あったらやらないか。
「はぁ」
柚葵は今日何度目かのため息を吐き出した。
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