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遙か北より遣われし
「優しい痛み」
小さな世界で生きてきた
憧れは抱かない
必要ではないから
世界は大きいと知った
知りたくなかった
必要ではないから
必要ではない、はずなのに
世界に触れた、心は、体は、
それを求めて、吸収して
知ってしまった
違う、知っていたんだ
必要ではない、はずだった
それなのに、心が、体が、叫ぶ必要だ、と 愛おしい、と
優しさを知ることは
痛みを知ること
優しさを与えれば
痛みも与えてしまう
なのになぜ
こんなにも心が震えるのか
その震えを包むのは
まぎれもなくヒトの優しさ
痛いほどの優しさ
愛することを
愛されることを
知った
私は生きることを知ったんだ
できることなら、そう――
叶わぬ願いなら、そう――
叶う願いを
私を産み落とした世界へ
優しい痛みを
愛おしいヒトビトへ
優しい痛みを
けれど、まだ、彼は知らない
そして、いつか、知るだろう
それすら包みこむほどの
太陽のような
月のような
大きな、大きな
優しい痛み
大きな、大きな
愛、を
2009.6.5 ちしゃな★様より
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