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城の敷地は、前王であるルーファスが張った結界によって守られ、魔物の進入を許すことなく、危険が及ばない状態を保っていた。
ルーファスは、国が誇る偉大な魔術師でもあったのだ。
ルーファスの母の家系は、遡れば魔女の血が流れていると言われ、生まれながらにして強大な魔力を持っている。
先の魔王降臨の際に戦い、見事魔王を封印したのは、北の森で北の魔女に直々に魔術を享受されたルーファスである。
現王であるアルダも魔力を持ち、多少は結界魔法などを使えるが、残念ながら魔術師と言えるほどの力を使えない。アルダは魔術を学んでいない。
そもそも、魔術が必要な状態ではなかったのだ。今の今まで……
アルダは、玉座で途方に暮れて溜め息をついた。
父が生きていれば、この状態など直ぐに打開してしまうであろうに……と。
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