5719人が本棚に入れています
本棚に追加
「誰もたどり着くことができない、北の森の奥深くに、北の魔女は住んでいます。
ルーファスは、己が習得した高い魔術によって、北の森に入ることができました。
私も、一度連れて行ってもらったことがあります」
セシリアは、ここで一つ大きく深呼吸した。
まるで自分の心を落ち着けようとするかのように。
「次に魔王が復活する時までに、ルーファスの代わりに魔王を封魔界に封じる魔術師を育てる。
それに関わる話し合いを、北の森の北の魔女の館でするために……」
セシリアは、辛そうにギュッと両手を握りしめ、それでも気丈にアルダに言った。
「あなたには、双子の弟がいます。知っていますね?」
「あ、はい。3歳の時に行方不明になった、オルコア……」
このアルダの返答も、セシリアは苦笑して首を横に振ることで遮った。
「オルコアは、行方不明になったわけではありません。
あの子は、ルーファスの為し得なかった魔王封じをするために、3歳の時にルーファスに連れられて北の森に行き、北の魔女に預けられ、そこで魔術の修行をしているのです。
オルコアはちゃんと、生きているのですよ」
アルダは、それこそ知らなかった驚きの事実に、目を見開いたまま言葉を失った。
最初のコメントを投稿しよう!