国王アルダ

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それに、気に入らなかった。 この非常事態に、確かに対策には頭を痛めている。 だが、双子の弟がずっと行方不明だと聞かされていたのに、生きていて、しかも、北の魔女のところで修行していただと……? アルダは複雑な心境になった。自分でもよく分からない不思議な感情である。焦りか、それとも…… 父はオルコアを北の魔女のところに連れて行った。自分ではなく、オルコアを選んだ。 父と同じ偉大な力を持つ魔術師に育てる者を、自分ではなくオルコアにした。 アルダにとって、父王は尊敬する存在。 その父の後を受け継いで王になった誇りを持って、今まで生きてきたのだ。 なのに、魔術師としての後継者を、自分ではなくオルコアにした。 無性に腹立たしかった。 これは、嫉妬だ。アルダは胸にたぎる熱いものがそれであると自覚した。 前王ルーファスの正当な後継者としての誇りを持ち、自分こそ、この非常事態を何とかする立場だと意気込んでいるのに、フラッと帰ってきたオルコアにアッサリ解決されてしまったら、自分はルーファスの後継者としてのプライドを維持できるのか。 大きな不安がアルダの心に生まれた。
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