遙か北に微笑みかけて

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当然、オルコアが北の魔女の治癒魔法によって蘇ったことはそこにいた人間を有頂天にさせた。 そして、当然アルダ王とセシリアは蘇ったオルコアを城へ迎え入れようとしたのだが、それにクリスモンド伯爵が異議申し立てした。 オルコアはフィルグリーンズ王家には戻らないだろう。 ただの王の弟君という立場でいる人物ではない。 ちゃんとした家を持ち、当主としてその力を発揮した方がいいと。 そこで名乗り出たのがクレオーニア伯爵だった。 自分のところには娘しかおらず、跡継ぎがいない。 だから、オルコアを養子に迎え、家を継いで貰いたいと。 意識が戻ったら意志を確認し、正式に養子縁組をさせて頂きたいと。 そして、今に至る……という訳である。 その話を聞きながら、オルコアは次第に困惑の表情を浮かべ始めた。 あまりに思いがけない展開で、思考がついて行かない。 目を白黒させているオルコアの表情があまりに愛らしく感じて、エディスはまたクスクスと笑った。 「お父様が正式にあなたに養子縁組のご了解を頂きに来られると思います。 心づもりをなさって下さいませ」 いたずらっぽくそう言われて、オルコアはちょっとだけ苦笑した。
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