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オルコアは、自室に入ると、獣の皮でできた袋に魔術法典と水晶玉、その他の必要な物を少し入れ、グルッと部屋を一眺めしてそこを出た。
表に出ると、カレンディーナがふてくされたように沈丁花の枝に頬杖をついている。
「カレン、一緒に来てくれるか?」
オルコアがそう言うと、カレンディーナは大きな溜め息をついた。
「世話が焼けるお坊ちゃんだこと。
ま、私が行ってあげないと、あんたでは頼りなくて見てられないし……
忘れないでよ? 私はあんたのお漏らしのお世話もしてあげたんですからね!」
手のひらサイズの彼女は、オーロラ色に輝く4枚の羽を羽ばたかせて、オルコアの肩にストンと座った。
「それを言わないでよ。私はもう、こんなに大きくなったんだから」
オルコアが苦笑して言うと、カレンディーナはグイッとオルコアの耳を引っ張った。
「全く! 人間っていうのは、ほんっとに短い間に大きくなって年老いてしまうんだから……
虫取り網であたしを追いかけていた小僧! 一人前のセリフ、吐かないで!」
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