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その一部始終のやり取りを、ギターの青年は関係の無い傍観者のように見つめていた。 「さぁそのギターをよこせ、さぁ、さぁ!」 吹野は激しく詰め寄る。 青年はギターケースを開け、“ソミア”を閉まい、聴料を入れてもらえる用の小箱の蓋を閉め、すっと立ち上がった。 何事もなかったかのように、ふとギターケースを抱えて歩きだした。 人々は道を息を吹き掛けたように道を開けた。 「こら待て」 吹野が追いすがり、ギターケースをガッとつかみ、叫ぶ。 「聞いているのか??それを俺に譲れと言ってるのがわからないのか」 ギターの青年は顔は帽子に隠れ、回りの人にはわからなかったが、顔をしかめているようだ。 その時、甲高い声がした。
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