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「ママンッて
言ッたカラ…」
「そんなコトないッッ
それはない」
男の人は
もっと笑いを堪えた
「僕、目立ちます?」
僕は話をそらしてみた
「人間離れしてるよね」
「…」
「ィイ意味でだョ」
「そうやッて育てられた
みたいな感ぢはあるョ
僕んち変わッてるし」
「そうなんだ
でさ、
バイトとか興味ないの?」
「パパのバンドの手伝いしてるケド
喧嘩してやめちャッたし」
「えッ
お兄ちャンのパパもバンドやッてんの?」
「うん
でも今は今度中学入る
双子の妹のレッスンばッかで、僕には興味ナシな
スタイルね」
「お兄ちャンさ、
マックおごるから
今日、バイトしてくんない?
俺もバンドやッてんだ
パソコンの留守番がいなくてさ
一日中ホムペの番人しててくれたら1万やるから」
「い―んですか?」
「だろ?
俺、ちゃんとした事務所
あるからさ
そこ、座ッて話しない?」
僕がハッピーセットを買ッてもらうと
男の人も
同じチーズバーガーに
同じオマケを注文した
男の人は
僕を見て何度も笑い
子供らしくて安心した
と言ッた
まだ午前中のマックには
子供連れのママや
何故か女子校生が多くて
男の人は僕に
この中に友達いないの?
って聞くけど
ガッコにいかない僕には
友達がいないと言うと
パパのバンドについて
詳しく聞いてきた
「ローチっての?」
「うん
パパはギターやッてる」
「喉に良さそな
バンド名だな」
「…」
「トローチ
って知らない?」
「僕、小学校もあんま行けてないから」
「家で何やってたの?」
「ゲームかピアノ」
「スゲッ
で?
パパと何喧嘩したの」
「…
人に言えたら
苦労しないコト」
「仲直りするんでしョ?」
「何回家出してッかわかんないし
ママンは『私の遺伝だ』
ッて言うし
ジィちャンは‥
腹減ッたら帰ッて来るッて人のコト、猫呼ばわり…
‥‥‥」
「どした?
お兄ちャン」
「僕んち
ママンが僕のコト
猫だと思ッてるんスよ」
「ぶッッ」
僕たちは
さっきのストリートライヴが見える公園のベンチで
マックを食べながら
話していた
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