room 1

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「聞いてる?」 ちょっと怒ったように由美が言う。 「えっ、何?」 「すぐそうやってぼーっとするんだから」 唇をとがらせて、ほどけかけたセーラー服のリボンを直す。 「タイピング、ちょうどいい練習方法があるよって言ってんの」 「ほんと!?」 「さっき言ったのに」 なんだか聞いたような気がするような、しないような…… 「ごめんごめん!詳しく教えて?」 「しょうがないなあー」 いじわるっぽく笑いながら「あのね」と由美が話し始める。 話を聞いてみると、それは確かに私の家のパソコンでも出来るし、楽しそうだし、練習にはぴったりの方法だと思えた。 ちょっと得意げな由美の説明を聞きながら帰る道は、なんだかいつもより星の数が多い気がした。
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