2040人が本棚に入れています
本棚に追加
「聞いてる?」
ちょっと怒ったように由美が言う。
「えっ、何?」
「すぐそうやってぼーっとするんだから」
唇をとがらせて、ほどけかけたセーラー服のリボンを直す。
「タイピング、ちょうどいい練習方法があるよって言ってんの」
「ほんと!?」
「さっき言ったのに」
なんだか聞いたような気がするような、しないような……
「ごめんごめん!詳しく教えて?」
「しょうがないなあー」
いじわるっぽく笑いながら「あのね」と由美が話し始める。
話を聞いてみると、それは確かに私の家のパソコンでも出来るし、楽しそうだし、練習にはぴったりの方法だと思えた。
ちょっと得意げな由美の説明を聞きながら帰る道は、なんだかいつもより星の数が多い気がした。
最初のコメントを投稿しよう!