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この世の中は
表裏する。
表には表の社会、裏には裏の社会が存在する。
しかし、裏と表にも踏み込んではならない
テリトリーがある
決して踏み込んではならない…
2010年
気温は上々
2月を過ぎ3月に入りやっと春らしい気温がやってきたのだ。
そして、桜もチラチラと蕾や花を咲かす木が見えてきた頃、
晴れて無事に留年せず高2に上がれた少年がこの家にいた。
食卓の周りにはまさに家族団欒というのに相応しいものだった。
父、母、弟、そして
この少年が食卓で寛いでいた。
「それにしても、お前、留年しなくてよかったなぁ」
家族の大黒柱、父が言うと少年はテレビを見ながら
曖昧に返事を返した。
この少年は
宍戸 煉 SHISHIDO Ren
いたって普通な学生である。
「はぁ…学校いってくる」
煉は自分が座る椅子の下に置いた学校カバンを肩にしょると
ゆっくりと玄関へ向かった。
「わすれものは?」
「ないよ」
そう言うと煉は靴をはき家を後にした。
「ハァ…たくっ…何がおもしろくて学校にいかなくちゃならねぇんだよ」
煉はブツブツ愚痴を吐き捨てながらも、学校へ到着し
自分が所属するクラスへと向かった。
そして、いつものように指定された席へと座り、授業を受けるのだ。それが学生にとって普通なのだが、
煉にとってはそれが退屈で仕方なかった。
家では大人しくしてはいるものの
外では煉は暴れ
喧嘩なんぞ日常茶飯事だった。しかし、勿論、人に見つからない所でだ。
くそ…暇だ…ふけようか…
煉は数学の授業にふと空をみていると、そう思った。
だが、そんな簡単には学校はサボる事は出来ない
そして、そうこうしてる内にも
授業は終わり、帰りのホームルームだった。
それが終わり
いつものように帰ろうとすると、校則違反丸出しの頭をした
友人が煉を呼び止めた。
「おい!宍戸!これからゲーセン行くけど行くか?」
その誘いに煉は
「ああ、暇だしいいよ。大」
大と呼ばれる少年に返事を返すと、二人は
ゲームセンターまで直行した。
煉の日常茶飯事の喧嘩はこのゲームセンターでいつも事が起きるのだ。
そして、事は起こったのだ。煉と大は自分より一つ年上の男達三人に路地裏に呼ばれたのだ。
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