母のお弁当

3/3
前へ
/100ページ
次へ
家に帰ると母は私に 「今日の弁当美味しかった?」と しつこく尋ねてきた。 私はその時イライラしていたし、いつもの母の弁当に対する鬱憤も溜っていたので 「うるさいな!あんな汚い弁当捨てたよ!もう作らなくていいから」と ついきつく言ってしまった。 母は悲しそうに 「気付かなくてごめんね…」と 言いそれから弁当を作らなくなった。 それから半年後、母は死んだ。 私の知らない病気だった。 母の遺品を整理していたら、日記が出てきた。 中を見ると弁当のことばかり書いていた。 「手の震えが止まらず上手く卵が焼けない」 日記はあの日で終わっていた…
/100ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1975人が本棚に入れています
本棚に追加