チャイルド

2 百二十円

「お邪魔しました」

僕は誰もいない玄関に挨拶をした。

廊下まで漏れていた賑やかな声も玄関を閉めるとすっと消えた。外は真っ暗で落ち葉の転がる音と冷たい風が吹いていた。

襟で首を隠して自転車に乗ろうとした時、近くに静かに光を放つ自販機が目に入り僕はホットコーヒーを買った。

それをコートのポケットに手と一緒に突っ込むと自転車にまたがった。