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闇に染まった静まり返った廊下を薄汚い光がちかちかと照らし出していた。 手は真っ赤に染まっていて、赤が滴るのを目で追うと、床が広範囲に赤に染まりあがっていた。 生暖かい息が手に掛かるが体はだんだんと冷たくなっていく。どんどん寒くなっていった。 激しい動機に極度な貧血に襲われて声が出なく助けを呼ぶことができなかった。 いつもならナースコールで呼んだり、今みたいに廊下にいる場合は叫んで助けを呼んだこともあった。 散歩なんかするんじゃなかった。
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