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しかし、サーシャは必死に態勢を立て直すと、ゆっくりとした攻撃を繰り出しながら体を寄せてきた。
何か云わんとする瞳。
あたしも彼女に密着するようにして武器を交える。
「奪ってください……」
サーシャは小声で確かにそう言った。
すっかり怯えてしまっている声は、決してあたしに負けるのが怖いのではない。
敗北のあとに待っている、非人道的な罰。
それに対する恐怖しか、今の彼女の眼には映っていないだろう。
『奪ってください』というのは、すなわち処女を取ってくれってことである。
見知らぬ汚い男たちに犯されるぐらいなら、今この場で多少は優しくあたしに奪われた方がマシという意味だ。
こういう申し出をする少女は決して少なくない。
あたしのような上級の戦士に対する憧れか、そうでなければ敗北のあとの罰に対する小さな抵抗か、理由はいずれかだ。
あたしの武器である槍は、木製ということもあり、先は大して尖っていない。
体に優しいとは言えないが、処女のコにはちょうどいいサイズに見えるらしい。
だからよくこういった申し出を受ける。
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