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1番ボックスの門の前に、あたしを待ち構えるようにして2人の護衛を連れた男が立っていた。
中肉中背、身長は低く、ジャラジャラと指や腕にアクセサリーをはめている。
いかにも悪趣味なこの男が、このルイン島の闘技場の運営者である。
名をマグースという。
「相変わらず見事な戦いぶりだ」
マグースはパチパチと手を叩きながら、気色の悪い笑顔であたしを出迎えた。
その視線は、嘗めるようにあたしの腰や胸に向けられている。
気を抜いたら服を引きちぎられそうな卑しい気配。
何度も会っている顔だが、あたしは身震いした。
「……何の用」
「気が変わったかと、思ってなぁ」
何が楽しいのか、ニヤニヤとしながらマグースが言う。
「あんたの専属奴隷になんか、100回頼まれてもならない」
よっぽどあたしが気に入っているのか、この男はたびたび同じ話を持ちかけてくる。
いわく、このルイン島で自分の専属の奴隷になれというのだ。
待遇をよくしてやるから、などと言っているが……あたしにはこれっぽっちも興味がない。
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