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ジャラリッ
かび臭く薄暗い部屋に鎖の音だけが不気味に響く。
切れかけた電球にもはや明かりの意味はなく、ただの飾りと化している。
しかし、そんな無に等しい明かりでさえ、今のあたしには太陽のように感じられた。
ウオオオオッ
この世のものとは思えない奇声や雄たけびが、分厚い鉄の扉の向こうから聞こえてくる。
いまさら驚くほどのことではないが、いつ聞いても気色悪い。
ガシャンッ
鉄の扉に、何かがぶつかる音。
それと同時に更に激しくなる歓声。
どうやら決着がついたのだろうか。
とすれば、もうすぐあたしの出番か……いや、その前に敗者への罰が下されるだろうから、まだ30分はあるか。
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