愛を知らない音

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「じゃあしっかりと掃除しとけよ!俺達帰るからさ?教室に少しでもゴミが落ちてたら許さないからな!!」 クラスの男子達に放課後の掃除を押し付けられ、1人黙々と掃除をしていると教室の扉が開いた。 「……誰?先生?」 僕が扉の方に顔を向けて、そう尋ねると先生の大人の低い声とは真逆の甲高い女子生徒の声が聞こえきた。 「ブッブー!美希ちゃんでしたー♪」 美希と名乗るその少女はクラスでも人気が高く、可愛いという事をよく耳にする。 「……君も僕をイジメに来たの……?」 僕は明るく喋る美希ちゃん……本名、笹倉 美希(ササクラ ミキ)とは対照的に怯えた暗い声で、ホウキで床を掃きつつそう尋ねた。 すると美希ちゃんが表情は見えないが多分キョトンとした表情で 「えっ……?何でイジメるの?」 逆にそう尋ねてきた。 僕はその言葉に少し戸惑いながらも何とか思っている事を口にした。 「えっ……だって……さっきの男子達は……」 「あー……アイツらは放っておきなよ?私も掃除手伝ってあげる!」
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