空虚の目覚め

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再び廊下に出て、2人で並んで歩く。 「えっと……お風呂と厨房と洗濯場と………それから、それから………」 「まあまあ、落ち着いて。」 「す、すいません!」 そんな調子で屋敷の中を歩く。 外からはまだ見てないが、なかなか広い屋敷だった。 装飾や壁にかけられた絵も立派である。 「アレンさん、こちらが厨房です!」 先程のダイニングから少し歩いたところに大きな厨房があった。 1人の女性が片付けをしている。 外見からは20歳程度に見えた。 「あれ?ミーア、どうしたの?」 女性が2人に気づいて声をかける。 後ろでまとめた赤い髪の毛を解く。 「えっと、こちらは明日からお手伝いしていただく、アレンさんです!」 紹介され、礼をするアレン。 「ああ、昼に運ばれてきた子ね。ふ~ん……黒髪なんて珍しいのね。私はミネルバよ。私は主に厨房担当だから。よろしくね。」 「あ、はい。よろしくお願いします。」 「ふふっ……じゃね。」 年上の女性に緊張して挨拶するアレン。 ミネルバは悪戯っぽく笑い、厨房の奥に消えていった。 「ミネルバさんはここのコックさんみたいな人なんです。私もよく教えてもらうんですよ。」 「へぇ~……」 厨房を出て、しばらく屋敷の中を回る。 すると、廊下の向こう側から洗濯された衣類の入ったカゴ持った金髪の女性が現れた。 外見ではミネルバの少し年下といったところか。 「あ、ケリーさん!」 「ん~?その子誰?新人?」 「明日からお手伝いしてもらうアレンさんです。」 「アレンです。よろしくお願いします。」 「ふんふん、力仕事は男の子がいると楽になるわね。よろしく、アレン君!」 ケリーのウインクに少し照れ笑いするアレン。 「可愛い~!ね~ミーア、この子私がもらってもいいかな?」 「なっ、えぇっ!?」 「だ、ダメですっ!アレンさんは私が………」 アレンが怯むと、ミーアはそれ以上にうろたえた。 ケリーはニヤニヤしながら続ける。 「私が……なぁに?」 「その……ぅ………お世話するようにドーア様から言われてるんです!」 ミーアは必死な様子で言う。 「あら、そう。残念だわ。じゃ、お二人さん、またね。」 ケリーが廊下を歩いていく。 「………こ、この先が洗濯場です。」 「あ、うん。」 ミーアは落ち着かない様子でアレンを先導した。
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