空虚の目覚め

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屋敷を一通り回り、寝室まで戻ってきた2人。 「……さて、以上が仕事場になります。覚えられましたか?」 「……多分。ありがとう。」 「いえいえ、これからよろしくお願いしますね!」 手を握って笑うミーア。 「うん。よろしく。」 アレンも笑顔で返す。 その笑顔を見たミーアが再び頬を赤くする。 (……………?) ミーアがあまりにも長く見つめているので不思議に思うアレン。 「………アレンさん……あの………私……」 ミーアは熱っぽい瞳で見つめている。 アレンはどうしようもなく見つめ返していた。 「ああ、肩凝ったわ……」 「そうね、さっさと寝ましょう。」 ミーアがはっとして手を放す。 曲がり角の向こうからミネルバとケリーが現れた。 「……あら、ミーアと新入り君。何してるの?」 「あらぁ?もしかしてお邪魔したかな?」 ケリーがからかった口調でミーアに言い放つ。 「ああ、なるほど!ごめんね、気がつかなくて!さ、どうぞ続けて続けて!」 ミネルバも楽しそうに言う。 「っ~~~~!!」 湯気が出そうな勢いで赤くなったミーアは慌てて部屋に飛び込んだ。 その様子を見た2人が大きく笑い声を上げる。 「新入り君……アレンだっけ?このっ!さては君、プレイボーイだなっ!」 ケリーがアレンを肘で小突く。 「え?な、何がですか!?」 「若いっていいわね~。君があと5歳上だったら私もチャレンジするのになぁ!」 ミネルバも笑いながらアレンの背中を叩く。 「あの子小さい頃からお仕えの身だから男性経験なんてないのよね?」 「そうでしょうね。アレン君、頑張ってね!」 笑いながら部屋に入っていく2人。 (………頑張るって?) 頭をかきながらアレンも部屋に入った。 「…………何をなさっているんですか?」 「着替えよ。そりゃ。仕事着じゃ寝られないでしょ。」 ワンピースを脱ぎ、下着姿のケリーが答える。 ミネルバも下着姿となり、パジャマに着替えている。 ミーアは慌ててワンピースで前を隠した。 「………失礼しましたっ!!」 慌てて退出するアレン。 「本当、可愛い子が来たもんだわ。」 「そうね。さ、早く寝ましょう。」 ケリーとミネルバが笑いながらベッドに入った。 (アレンさん………) ミーアはアレンが出ていったドアを見つめていた。
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