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「アレンさん、いつまで寝てるんですか?」
「んあ?」
頭上から響く声に目を開ける。
そこにはアレンに馬乗りになったミーアがいた。
「もう、すぐ寝ちゃうなんてひどいですよ。」
「ん……ごめん。」
何の話か全くわからなかったが、頬を膨らませるミーアに謝っておく。
しばらくして、視界がはっきりしてくると、異常な事態に気づく。
「…………ミーア?」
「はい?」
「……服は?」
ミーアは裸だった。
「……そういうアレンさんこそ………」
顔を赤くしてアレンの胸に倒れ込むミーア。
「………え?」
視界に入った自分の体。
確かに何も着ていない。
(ベッドに入るときにシャツは脱いだけど………全部は脱いでないぞ!?)
「さぁ、アレンさん。………始めましょう?」
「は、始めるって何を!?」
「……もちろん――」
「アレンさん!!」
響くミーアの声。
「ミーア!?あれ?」
飛び起きて状況を確認する。
昨日と同じくメイド服姿のミーア。
自分もちゃんと服を着ている。
「……どうしたんですか?うなされてましたけど………」
(……夢だったのか!?)
やっと納得するアレン。
「いや、ミーアが………」
「私がどうかしましたか?」
「………なんでもない。」
真っ直ぐ見つめる瞳にさっきの光景が重なる。
思わず顔を背けるアレン。
「………?急いで起きてください!エリア様が出発されますので。着替えはクローゼットにありますから。」
「はぁ………?」
促されるまま起き、クローゼットに歩く。
その様子を見たミーアが部屋を出る。
隅に追いやられた男性用のスーツを見つけ、手にとる。
手早くそれを身につけると、ミーアが出ていったドアに向かった。
ドアを開けると、全員が集合していた。
(アレンさん、遅いですよ!)
(ごめんごめん。)
目の前には馬車が停められている。
「じゃあ、行ってきます。」
「気をつけてな。」
『いってらっしゃいませ。』
ドーアが手を振り、メイド達が一斉に礼をする。
反応が遅れたアレンを睨み付けるエリア。
「……次帰ってきた時には従者らしくなってなさいよ。………出して。」
吐き捨てるようにアレンに言い、馬車を走らせる。
遠くに見える街に一本の道が続いている。
その上をエリアを乗せた馬車が走っていった。
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