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「私の迎えもそろそろくるな。ミネルバ、留守は任せた。」
「はい。お気を付けて。」
間もなく馬車が到着する。
「アレン君、頑張ってな。」
「あ、はい。」
優しく笑い、馬車に乗り込むドーア。
エリアと同じように街の方に馬車が走っていった。
「………さて、お仕事といきましょうか!」
ミネルバが気合いを入れるように言う。
「いつも通り私は洗濯から終わらせるわね。」
ケリーが先に入っていく。
「じゃ、3人でお掃除しちゃいましょう。」
「はい!」
「わかりました。」
ミネルバに続いてミーアとアレンも屋敷に戻る。
「私は広いダイニングとキッチンやるから、2人で各部屋回って来てくれる?」
「わかりました!アレンさん、行きましょう。」
「ん、わかった。」
広い屋敷の廊下や部屋を回り、箒や雑巾で丁寧に掃除していく。
使われていない部屋も多く、埃を払う程度で済ませ、すぐに次の部屋へ移る。
最後に2人が来たのは大きな部屋。
「ここは?」
「エリア様のお部屋です。………しばらくはお帰りになりませんけどね。」
「ああ、あのお嬢様ね……どこに行ったの?」
「ハインラウト国立グレイベルグ学園。ハインラウト王国の未来を担う貴族様たちが魔法と武術を中心に立派な領主様になるための勉強する学校です。」
「へぇ……貴族様の学校………」
目を覚ましたアレンが知ったことは2つ、ここがハインラウトという王国であることと、厳格な貴族社会であるということだ。
「全寮制で、緻密に組まれたカリキュラムが王国の未来を背負う貴族様を生み出すんです!……私たち平民の憧れなんですよ。」
「憧れか……でも、貴族しか入れないんじゃないの?」
「そうですね………平民のための厳しい入学試験で合格すれば……他にも例外的に学長様に認められた人なら平民でも入れるみたいですよ。」
ミーアは少し残念そうに続ける。
「私には何も取り柄がないですし……いろいろとお金もかかるでしょうからね。とてもそんな余裕なんてうちにはありませんから。」
「そっか………学校ねぇ……」
「さ、お掃除しちゃってお茶にでもしましょう!」
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