551人が本棚に入れています
本棚に追加
「あちゃ~……後で謝っとかないと………ん?」
ため息の後、視線を戻したアメリアが見慣れない姿を見つける。
そのスーツ姿の青年は、広場まで来て辺りをキョロキョロ見回していた。
「黒い髪?珍しいわね………君!どうしたの?」
立ち上がってその黒髪の青年に声をかけてみる。
「あ~……エリアって生徒探してるんだけど……知らないかな?」
「ん!もしかして君、海岸に打ち上げられてたっていう?」
「え?……君は?」
「エリアの友達よ、一応。さっきあなたの話は聞かせてもらったわ。」
笑うアメリア。
アレンと大差ない程の身長で、細身ながら丈夫そうな体つきだった。
「今一緒にいたんだけど……寮に行っちゃった。私も探してあげようか?」
「お願いしていいかな。俺はアレン。」
「私はアメリア。よろしくね、アレン!」
街の中にかなりの広さを占めていたこの学園校舎。
その広さはもちろん、外観を見ても、ミーアが憧れていることも頷ける豪華な造りであった。
門を潜ってすぐの噴水広場で会った2人は、立派な校舎を横目に歩いていく。
「ほい、着いた!」
アレンはアメリアに先導され、学生寮に入っていた。内装はなかなかに丁寧で、先ほどまでいた屋敷と同じように、高級な雰囲気が漂っている。
赤絨毯の廊下を歩き、エリアの名前の札がかけられた部屋の前で足を止める。
「エリア~!いる~?」
アメリアがノックしながら尋ねる。
「どうせ私は童顔で運動できなくて素直じゃなくて泣き虫ですよ!悪かったわね!」
「……そこまでは言ってないわよ。」
「拗ねてるのか?何かあったの?」
「ん、まあ、ね……開けてよ~!エリア~!」
鍵を閉めたままのドアをひたすら叩くアメリア。
「ちょっと、他の人に迷惑………」
ドアの内側から困ったように言うエリアだが、アメリアは手を休めることなく呼び続ける。
「エリア~!!」
「うるさいっての!」
我慢できなくなったエリアがドアを開ける。
「まったく………あれ、あんた………」
アメリアの隣に立つアレンに気付く。
「どーも。……なんつーか、家とは性格違うんですね?こっちでもお上品に振る舞ってるのかと思ったけど………」
「あんたには関係ないでしょ。何しに来たのよ?」
「………これはなんでしょうか?」
エリアの目の前に杖を出すアレン。
「あっ!返しなさいよ!」
エリアが慌ててそれを奪おうと手を伸ばした。
最初のコメントを投稿しよう!