空虚の目覚め

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「あちゃ~……後で謝っとかないと………ん?」 ため息の後、視線を戻したアメリアが見慣れない姿を見つける。 そのスーツ姿の青年は、広場まで来て辺りをキョロキョロ見回していた。 「黒い髪?珍しいわね………君!どうしたの?」 立ち上がってその黒髪の青年に声をかけてみる。 「あ~……エリアって生徒探してるんだけど……知らないかな?」 「ん!もしかして君、海岸に打ち上げられてたっていう?」 「え?……君は?」 「エリアの友達よ、一応。さっきあなたの話は聞かせてもらったわ。」 笑うアメリア。 アレンと大差ない程の身長で、細身ながら丈夫そうな体つきだった。 「今一緒にいたんだけど……寮に行っちゃった。私も探してあげようか?」 「お願いしていいかな。俺はアレン。」 「私はアメリア。よろしくね、アレン!」 街の中にかなりの広さを占めていたこの学園校舎。 その広さはもちろん、外観を見ても、ミーアが憧れていることも頷ける豪華な造りであった。 門を潜ってすぐの噴水広場で会った2人は、立派な校舎を横目に歩いていく。 「ほい、着いた!」 アレンはアメリアに先導され、学生寮に入っていた。内装はなかなかに丁寧で、先ほどまでいた屋敷と同じように、高級な雰囲気が漂っている。 赤絨毯の廊下を歩き、エリアの名前の札がかけられた部屋の前で足を止める。 「エリア~!いる~?」 アメリアがノックしながら尋ねる。 「どうせ私は童顔で運動できなくて素直じゃなくて泣き虫ですよ!悪かったわね!」 「……そこまでは言ってないわよ。」 「拗ねてるのか?何かあったの?」 「ん、まあ、ね……開けてよ~!エリア~!」 鍵を閉めたままのドアをひたすら叩くアメリア。 「ちょっと、他の人に迷惑………」 ドアの内側から困ったように言うエリアだが、アメリアは手を休めることなく呼び続ける。 「エリア~!!」 「うるさいっての!」 我慢できなくなったエリアがドアを開ける。 「まったく………あれ、あんた………」 アメリアの隣に立つアレンに気付く。 「どーも。……なんつーか、家とは性格違うんですね?こっちでもお上品に振る舞ってるのかと思ったけど………」 「あんたには関係ないでしょ。何しに来たのよ?」 「………これはなんでしょうか?」 エリアの目の前に杖を出すアレン。 「あっ!返しなさいよ!」 エリアが慌ててそれを奪おうと手を伸ばした。
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