両校交流戦、秋の陣~後編~

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アレンが2人に事情を説明すると、驚きながら頷き、手分けして捜すことになった。 息の整ったアメリアと、まだ辛そうなミーアがエリアを呼びながら森に入って行く。 (……何で逃げたりしたんだ………?) アレンも考えながら2人と反対方向に走る。 「エリアー!」 しばらく走っては叫び、また走る。 日は既に水平線まで傾き、暮れようとしていた。 (まずいな………日没までに見つけないと……) ただでさえ攻撃を受けて混乱しているこの状態で、暗くなった戦場でエリアを捜すことは無理に等しい。 「……エリアー!!」 もう一度思い切り叫ぶ。 返事はない。 「くそっ………!」 木に囲まれていることもあり、視界がよくない。 川が近いのか、地面も水を含んでぬかるんでいる。 「………!?あれは!」 そのぬかるんだ地面に足跡を見つける。 大きさから考えてエリアのものである可能性が高い。 急いで足跡を辿ると、大きく窪んだ穴の前で足跡は消える。 最後の足跡は滑ったように延びていた。 「………見つけた!!」 その深さ1メートルほどの窪みの中、泥だらけになって倒れるエリアを見つけた。 「エリア!おい、エリア!!」 声は届いているはずだが、返事がない。 気絶しているようにも見える。 「……くっ!」 意を決して穴に飛び込むアレン。 「おい、目を覚ませ!エリア!」 肩を揺すっても頬を叩いても目を開けないエリアに不安を覚える。 (………頭を打ったのか?体が消えていないってことは生きてるんだろうが………) 先ほど進攻を仕掛けた時に、斬った敵はしばらくして消えたのを思い出す。 とりあえず目標を発見したアレンはエリアを担ぎ、剣を内壁に刺しながらよじ登る。 日没まで残り数分だろう。 アレンは急いで砦へ走った。 「………アレン!」 アメリアが叫ぶ。 周りの生徒も一斉にアレンと、その背のエリアに注目した。 「見つけた。気を失ってる。………あっちの状況は?」 アレンが尋ねると、残念そうな表情を浮かべる生徒たち。 「………そうか。落ちたか………」 「………イアン君の隊が最後まで残りました。その間に生存した私の隊とアレン君の隊の生徒はここに撤退を。」 フロリスが俯きながら話す。 確かに自分の隊の半数ほどがその場にいた。 「……日没だ。警戒を保ったまま朝を待とう。……進攻は不可能だ。」 マーレイの発言に異を唱える者はいなかった。
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