両校交流戦、秋の陣~後編~

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先に仕掛けるのはエルティズ。 振り上げた大剣を真上から振り下ろす。 隙のない一撃だが、見切ったようにシェイラは横へ飛び、瞬時に魔法を解放する。 無数の氷の矢がエルティズの剣に弾かれ、その場に砕けた。 すぐさま距離を詰め、大剣を横に凪ぐ。 やはり見切っているのか、飛び上がったシェイラは真上から氷塊を飛ばす。 渇いた音が響き、氷塊が真っ二つになって落ちる。 一通りの攻防を終え、2人は再び間合いをとる。 「………やっぱり、いい魔法だ。」 「そっちこそ、王国ベスト4は伊達じゃないのね。」 「……あの日は調子が悪かった。もしかしたらトップを狙えたかもしれない。」 「………次の大会を楽しみにしてるわ。」 「期待に応えれるように努力するよ。」 軽口を叩きながら、隙を伺う両者。 雲に隠された月が、一瞬だけ顔を出す。 それを合図に、2人の間合いは再び詰まった。 「………シェイラが1人で?」 「……ええ。」 なんとか進攻を退け、砦に戻ったアレン達。 レティスから城が攻められていると聞いたのと、走り出すのは同時だった。 「………アレン君。」 「なんだ!?」 急ぐアレンを呼び止め、真剣な顔のレティス。 「私は、あなたのことが嫌いです。」 「………なっ?」 突然何を言うのかと、アレンが首を傾げる。 「ですが、奇襲を見抜けなかったことについては私の責任です。」 レティスが深々と頭を下げる。 「………援軍を、お願いします。」 「………任せな!」 アレンに続く生徒達。 その様子を見ながら、レティスは悔しそうにテーブルを叩いた。 「ふっ!」 2人の戦いは激しさを増し、辺りにはシェイラの氷が飛び散ってる。 「……そろそろ……決着ね!」 「………!!」 飛び散った氷の破片が持ち上がる。 数百はあろう小さな矢がエルティズを取り囲んだ。 「最初から……これを狙っていたのか。」 「………はぁっ!」 シェイラの気合いとともに矢が一斉に降り注ぐ。 エルティズは慌てる事なく、素早く詠唱する。 「………グラント・フレイム。」 大剣に炎が宿る。 「はあぁぁ!!」 その場で横に回るように大剣を振りかざす。 氷の矢は一瞬で蒸気となり、辺りに白い霧を作り出す。 その中から飛び出したエルティズの大剣がシェイラに迫った。 「くっ!」 「もらった!!」
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