551人が本棚に入れています
本棚に追加
朝食を終えた各隊の代表が会議室に集まる。
朝の爽やかな空気とは逆に、重苦しい雰囲気が漂っていた。
「………それでは、各分隊の損害を報告してください。レオナさん。」
『こちらは全員無事ですわ。1人魔法の使いすぎで倒れましたが、昼にはもう動けるでしょう。』
北の防衛にあたっていたレオナ分隊。
進攻も1度で被害もあまり大きくない。
「ロビン君。」
『こちらも全員無事です。矢も足りてます。』
同じく北の防衛隊、ロビン分隊。
やはり被害はほぼない。
「……シェイラ分隊、どうですか?」
『………昨夜の戦いでお姉……シェイラさんはほとんど戦闘不能ですね。意識は戻りましたが……あ、生徒は全員無事です。』
返事はシェイラの補佐であるエルザ。
「あとは見ての通りか……どうする?」
アレンが呟きながらレティスを見る。
アレンの問いには答えず、地図をじっと眺めていた。
(そういや怒らせたままだったなぁ……)
仕方ないのでアレンも地図を見る。
その上のメーター、お互いの優劣示すメーターはほぼ互角、少しだけミセア有利を示している。
「残った兵力は6割、対してあっちには7割強はいるだろうな。」
マーレイは無表情のまま自軍の劣勢を語る。
唇を噛み、悔しそうなレティスは決意したように呟いた。
「……攻勢に出ましょう。隊を編成し直します。」
「そうこなくちゃな!」
喜びながら手を叩いたアレンをレティスは睨みつけた。
「ただし、アレン君にはクイーンの護衛に回ってもらいます。この砦に残ってください。」
「なっ!何でだよ!」
「ゼリアルが勝つためです。戦場に不確定要素は危険過ぎます。」
冷静なのはレティスだった。
言い返す台詞もなく、アレンは渋々了解した。
会議を終え、隊の待つ1階に戻ったアレン。
周りの生徒はすっかりアレンを隊長と認め、その周りに円形に集合した。
「これから昼にかけて、全力の進攻を仕掛ける。目標は敵の城および敵キング。」
アレンの伝達を聞いて喜ぶ半数、厳しい顔の半数。
「具体的には?」
喜ぶ半数側のアメリアがわくわくしながら尋ねる。
「主な進攻ルートは南。……これから隊を移動する生徒の発表をする。指示されたところに行ってくれ。」
リストに目を落とし、名前と場所を告げていった。
「………マーク、ロビン分隊。キャシー、レティス分隊。……アメリア、マーレイ分隊。」
アメリアが驚きながらアレンを見た。
最初のコメントを投稿しよう!