両校交流戦、秋の陣~後編~

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朝食を終えた各隊の代表が会議室に集まる。 朝の爽やかな空気とは逆に、重苦しい雰囲気が漂っていた。 「………それでは、各分隊の損害を報告してください。レオナさん。」 『こちらは全員無事ですわ。1人魔法の使いすぎで倒れましたが、昼にはもう動けるでしょう。』 北の防衛にあたっていたレオナ分隊。 進攻も1度で被害もあまり大きくない。 「ロビン君。」 『こちらも全員無事です。矢も足りてます。』 同じく北の防衛隊、ロビン分隊。 やはり被害はほぼない。 「……シェイラ分隊、どうですか?」 『………昨夜の戦いでお姉……シェイラさんはほとんど戦闘不能ですね。意識は戻りましたが……あ、生徒は全員無事です。』 返事はシェイラの補佐であるエルザ。 「あとは見ての通りか……どうする?」 アレンが呟きながらレティスを見る。 アレンの問いには答えず、地図をじっと眺めていた。 (そういや怒らせたままだったなぁ……) 仕方ないのでアレンも地図を見る。 その上のメーター、お互いの優劣示すメーターはほぼ互角、少しだけミセア有利を示している。 「残った兵力は6割、対してあっちには7割強はいるだろうな。」 マーレイは無表情のまま自軍の劣勢を語る。 唇を噛み、悔しそうなレティスは決意したように呟いた。 「……攻勢に出ましょう。隊を編成し直します。」 「そうこなくちゃな!」 喜びながら手を叩いたアレンをレティスは睨みつけた。 「ただし、アレン君にはクイーンの護衛に回ってもらいます。この砦に残ってください。」 「なっ!何でだよ!」 「ゼリアルが勝つためです。戦場に不確定要素は危険過ぎます。」 冷静なのはレティスだった。 言い返す台詞もなく、アレンは渋々了解した。 会議を終え、隊の待つ1階に戻ったアレン。 周りの生徒はすっかりアレンを隊長と認め、その周りに円形に集合した。 「これから昼にかけて、全力の進攻を仕掛ける。目標は敵の城および敵キング。」 アレンの伝達を聞いて喜ぶ半数、厳しい顔の半数。 「具体的には?」 喜ぶ半数側のアメリアがわくわくしながら尋ねる。 「主な進攻ルートは南。……これから隊を移動する生徒の発表をする。指示されたところに行ってくれ。」 リストに目を落とし、名前と場所を告げていった。 「………マーク、ロビン分隊。キャシー、レティス分隊。……アメリア、マーレイ分隊。」 アメリアが驚きながらアレンを見た。
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