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「名前を呼ばれたやつはそれぞれの隊に行ってくれ。残りは俺とクイーンの護衛だ。」
「アレンは進攻しないの?」
「したいんだけどな……どうやらレティスに嫌われたらしくて。」
残念そうに苦笑するアレン。
確かに勝手と言われても仕方ない進攻もしたし、エリアの護衛が必要なのもわかる。
だが、簡単に諦められるほど人間はできていない。
「隙を見て援軍に行くからさ、先に行っててくれ。」
「………うん、わかった。じゃあまた後で!」
アメリアがマーレイの近くに走っていく。
「じゃ、残りは適当に哨戒しといてくれるか。真ん中の橋が穴にならないように見といてくれ。」
アレンの指示を受けて隊の生徒は散り散りに歩き出した。
「アレンさん、私は……」
「ああ、ミーアは……」
アレンは少し悩む。
優しいミーアが哨戒で敵の生徒を見つけたところで、何もできずに見ていることしかできないのは知っている。
「………紅茶をお願いしようかな。一緒に休憩でもしよう。」
「あ、はい。わかりました。」
エリアは会議室に篭り、日差しと毛布のおかげでうとうとしていた。
アレンの入室に気づくこともなく、静かに寝息をたてている。
「………相変わらず、呑気なやつだ……」
アレンはテラスに出て下の方に目をやる。
進攻に動く生徒が見えた。
少し悔しくなったので、振り返って目線を室内に移す。
眠るエリアの他には大きなテーブルと地図くらいしかない会議室。
エリアを起こす気にもならず、向かえの席に腰を落とす。
「く~……く~………」
「……緊張感のないやつだな……」
この安らかで平和な寝顔を見ていると、擬似でも戦争をしていることを忘れてしまう。
頬を指で突いてみる。
「ぬぅ……ん……」
起きそうになりながら、再び寝顔に戻るエリア。
暇すぎてやることもないので何度か突いてみる。
「ん……何よぅ……」
「ありゃ、さすがに起きたか。」
うっすら開けたエリアの目にはアレンが映る。
「……何であんたがここにいるの?」
「お前の護衛役になったからだよ。」
会議に参加しなかったエリアはそのことを知らない。
加えて、他の隊は進攻していることを教える。
「ああ、暇だなぁ………」
自分が側にいながら暇だとぬかすアレンにムッとするエリア。
「アレンさ~ん、準備できましたよ~!」
ドアの向こうから聞こえるミーアの声に、さらにエリアの表情は不機嫌になった。
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