両校交流戦、秋の陣~後編~

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そんな穏やかな時間を過ごす2人。 しかし、その平和な時間は一瞬で破られた。 「………!エリア様!」 「どうしたの?」 「あっちの砦が……落ちました!」 敵側南の砦、レティスが制圧していた砦がミセアの青に染まっている。 メーターは一気にミセア有利を指した。 「どういうこと……?」 「進攻部隊が……やられたのでは!?」 「ってことは………この砦に来るんじゃないの!?」 「急いで逃げましょう!!」 慌てて会議室を出る2人。 その足が数歩で止まる。 階下に複数の足音が聞こえていた。 「………そんな………!!」 「……踏み込まれてるわね。」 絶望する2人。 会議室のドアを閉め、開かないようにテーブルで押さえた。 「どうしましょう……」 オロオロするミーア。 エリアはテラスを見つめ、ため息をついた。 「………テラスから……降りる!」 「えぇ!?そんな無茶苦茶な!」 「無茶苦茶でもやらないと負けちゃうの!」 決意したエリアはテラスに向かい、腰の高さの策をまたぐ。 3階分の高さは相当高い。 空を飛ぶような上級の風魔法は使えない。 後ろではドアを蹴る音が響いていた。 恐る恐る足を出すエリア。 片足立ちになった瞬間を見計らったかのように、風がエリアの背中を押した。 「あっ……!」 「エリア様!!」 「っとと!お前何してんだ!?」 目をつぶったままのエリアをキャッチした黒髪のエース。 「あ、アレン!!」 「なっ……進攻されてるのか!?」 「こっちの進攻部隊がやられたみたいなの!」 「……マジかよ……ミーアは!?」 エリアがテラスを見上げる。 ミーアが杖を取り出した。 「ミーア!キャッチするから飛べ!!」 アレンが叫ぶが、ミーアは首を横に振った。 「アレンさんはエリア様と逃げて!私が時間を稼ぎますから!!」 「でも……」 状況を考えればミーアの言っていることが正しい。 しかし、それはミーアを捨て駒にすると言っているようなものだった。 「ミーア!!」 「もうドアが持ちません!行ってください!」 悔しそうに俯くアレン。 周りの生徒は心配そうに指示を待っている。 「……みんな行くぞ。城まで撤退だ!走れ!!」 走り出したアレンに部隊が続く。 後方の砦ではミーアの魔法が炸裂していた。
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