両校交流戦、秋の陣~後編~

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背後にシェイラの吹雪を感じながら、アレン達は森を走った。 やがて前方にロビンの隊が見える。 「ロビン、突っ込むぞ!援護してくれ!」 「……了解!」 物分かりのいいロビンにはそれだけで作戦が伝わったらしい。 すぐに弓兵が道を作るような矢の雨を降らせた。 「アレン、今だ!」 「行くぞ!」 怯んだ敵生徒の横を走る。 途中で何人かが捕まるが、振り返る余裕はない。 一気に橋を渡るアレン。 「よし、渡ったな!?」 「げほっ……げほ………速過ぎ……息が………」 エリアを含め、ついて来た生徒は顔面蒼白。 橋の向こうで起きている戦闘からは相当離れることができた。 それでも止まっている暇はない。 アレンが励まそうと口を開いた時―― 背後からの殺気に気づいた。 「……中央突破か。無茶なことをする。」 「ここにも部隊を展開しといて正解だったね。」 落ち着いた声は微笑を混ぜてアレン達に迫った。 「エルティズ……くそっ………」 てっきり南の砦に進攻したと思っていたエルティズは自分の目の前にいた。 その隣の生徒もエースのバングルを装備している。 「………ロベルト、あの黒髪は注意しろ。」 「おいらの腕を舐められちゃ困るなぁ……」 言いながらロベルトは槍を構える。 「……全員、集合!!」 周りの森から一斉に生徒が飛び出す。 残りの全生徒なのか、その数は相当多い。 「くそっ……みんな、拡散しながら迎え撃て!!」 アレンは指示を飛ばしながらエリアを抱える。 「え?何!?」 「お前は安全な場所から魔法で援護しろ!」 森へ走り、木の影にエリアを置く。 「もし敵に狙われたら……木を利用して走って逃げろ。」 「ど、どこへよ!?」 「城だ!」 最後にエリアの頭をぐしゃぐしゃと撫で、アレンは再び走り出した。 「エルティズ!」 「……お姫様の護衛はいいのかい?」 「……森に隠した。」 「そうかい。」 周りで戦闘が起きているにも関わらず、2人に手を出す者はいなかった。 2人の間に走る緊迫した空気が、他者を介入させないオーラを放っていた。 「………やるか?」 「ああ、もちろんだ。」 エルティズは楽しそうに頷き、剣を抜く。 問い掛けたアレンも剣を抜き、低く構えた。 「……勝負だ、アレン!!」 「行くぞ!エルティズ!!」
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